■公共の場での授乳の是非について、どう考える?
大変ご無沙汰しておりましたが、
今回はこの問題について考えてみます。
(当初貼付けていたニュースが消えたので、同じような違う記事を貼付けました。2017-11-19)
■ 双方の言い分。
ここには、2つの異なる立場がありますネ。それは
1.公共の場で、赤ん坊に授乳する母親
2.それを見て何らかの感情が湧き起こり、やめて欲しいと思う人々
の、2者です。まずは双方の言い分を見ていきましょう。
1.公共の場で授乳する母親の言い分
赤ちゃんが 空腹な時が、授乳どき。(俳句風)
母親のしたい事はコレだけです。
空腹を訴え取り乱す我が子を、すぐにでも安心と平穏で出来た世界に導いてあげたい。
ソレ以外に他意はありません。
ちなみに赤ちゃんを育てた方ならお分かりになるかと思いますが、空腹になった赤ちゃんというのは、個人差はあれど、大騒ぎするのですよ。「大変・・・あたい、死んじゃうわ!!」と言わんばかりの、上へ下への大騒ぎです。私は赤ん坊のそんな様子を見る度に、「これが生きる力だよな」と関心していたものです。
次女、産まれたばかり。
対して、お腹が満たされた赤ちゃんと言うのは、平和を体現しているような、こちらの心が穏やかになってしまうほどの安らかな表情をみせてくれます。
赤ん坊を持った親は、そんな繰り返しを経験する事で、一刻も早く我が子を満たしてあげたいという思いを、産まれた直後から自然発生的に持つようになります。
そしてそんな母親は、決して周囲に見せつけるために授乳しているわけではありません。それは徹頭徹尾、100%、混じり気無く、赤ん坊の命を育むための、"利他的な行為"です。
2.公共の場での授乳をやめて欲しいと思う人々、の言い分
ネット上を徘徊して調べてみたところ、色々な意見を見かけました。
中でも一番まとまっているなと思ったのはこの意見です。
「母親であるとか、女を捨ててるとかそういう議論をしている場合ではなくて、私たちは皆が良識的な人間であるべき。
確かにお腹を空かせて泣いている赤ちゃんに困ってその場で洋服ベロンなりケープなりで授乳することは仕方のないこと。けれどそれが公共の場で授乳しても良い!という堂々とした理由にはならないような・・・。
それよりも前もって人目のないところで授乳しておく、授乳室をみかけたらその都度こまめに授乳しておくなど心掛けていればそこまで困ることもないはず。ケープさえつければどこでもいいというのは周囲に配慮がない」
出典サイト:
「授乳は自分の前でして欲しくないわぁ」どころか、洋服べろんでも、ケープを使ってでも、いずれにしろ人前での授乳を「すべきでない」という人も現実にいるということです。それは何故かと言うと
自分たちの目のやり場に困る
かららしい。公俗良序違反だとでも言っているようです・・・っていうか、そうですよね?だからなんだかモゴモゴと濁らせていますが、彼らにとってはハッキリ言うと
授乳=わいせつな行為
ということになります。
わいせつ いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの(判例)大谷510
参照:定義集 刑法4
どんなに良識だとか、配慮だとか、いい人そうな顔でもっともらしく言ったところで、要はこういうことを言っているのです。さらにもうちょっと詳しく言うと
空腹の赤ん坊に公共の場で授乳する行為は、
露出狂や、チカンと同じ。
と言っている、ということになります。
で
「それ、気分悪くなるし、見たくないから、引っ込んでやって」
と言っている。しかもこれがまた卑怯だなーと思うのですけども、
「見たくない人がいるのだから、引っ込んでやるべきでしょ?」
と、他人主体な言い方をするのが常です。そう言う事言う人は、大体「自分はイヤだ」という主体的な言い方をしません。何故かはもうお分かりになるかと思います。
はて、コレはなんだかどこかで聞いた事がある論理だな?と思い、考えを巡らせてみました。
そうです。これは
■ チカンされた女子に「そんな格好してるから」と責める言い分にそっくり。
なのですね。
誰がどう考えても、公共の場でチカン行為をする側の方に問題があり、そちらの良識を先に疑うべきだろう
と常識的な大人は考えて欲しいものです。だってチカンは犯罪なのですからね。「そんな格好をする方が(略)」という言い方をする人は、「チカンする権利を擁護している」、そして「チカンに加担している」ということに気付いてくださいネ。
チカンから授乳の問題にハナシを戻す前に、一つ、ここでチカンと授乳問題の共通点を挙げておきます。そこにあるのは、
良識とか常識とかを振りかざして、
黙らそうという空気
です。
■ どっちが引っ込むべきかは、火を見るより明らかでは。
で
授乳の話に戻しまして・・・
ここでハッキリと私の主観を主張しますが、
これって、どっちかというと
赤ん坊への授乳をわいせつって思う人の方が、
黙ったら?って思いません???
見たくなかったら、目をそらしてそそくさと通り過ぎたら?って。
オマエは一体どうやって大きくなったと思っているのだ。
全く持ってけしからん。そっちが引っ込めば?というハナシですよ。
とってもシンプルです。
そう言う方々はね、潔く
「オレ、大きな声では言えないけど、授乳している女に興奮するんだよ」
て、小声でこそこそと言っててくださいよ。小声で言う分には、個人の自由ですから。日陰の中で、小声で言って然るべき、恥ずかしい感覚だしね、それ。
でも赤ん坊の大らかな食欲に母親が応える権利は、ひっそりと引っ込めるわけにはいかないのです。そして太陽の下に堂々と享受する権利がある、そういう類いのものです。
■ 一方。世界の状況は、というと。
上記のリンクには、"公共の場での授乳の権利を保護する"法律が施行されたアメリカの州を分かりやすく示した図があります。英語だけど図は分かりやすいので、是非とも見てみてくださいね。
コレを見るに、"公共の場で授乳する母の権利"を保護する法律が施行されていない州は、たったの3州である事が分かります。
さらにブラジルでも
美術館の監視員に授乳行為を咎められた母親の訴えが元で、ソレに対して「リオのカーニバルは何にも言われないのに、なんで授乳がわいせつなのよ!!」と怒った母親達による、なんと授乳しながらのデモが起こりました。
元モーニング娘。の辻希美さんが、「歩きながら授乳してる」と発言したことがかつて賛否両論を巻き起こしましたが、そんな問題が小さくかすんでしまうほどの豪快さです。想像するだけで心楽しく、愉快な気持ちになるデモですねえ。その後ブラジルでは、「公共の場での授乳を邪魔したものに罰金を課す」法律が出来たそうです。
参考:
脱線しましたが、他にも"公共場所での授乳の権利を守る法が整備されている”国は、アメリカ、ブラジルの他、台湾、オーストラリア、フィリピン、イギリスなどがあります。先述の私の主張「オマエら、どうやって大きくなったと思ってるわけ?」「そっちが黙りなさいよ」という逞しき母の声が勝ち取った権利と言えるでしょう。
参照:
と同時に、このような法律が整備されていると言う事は、授乳シーンを見て性的に興奮するけしからん輩が「人前で授乳してオレを興奮させるなんてけしからん」だとかなんとか、そのような恥ずかしい事を堂々と大声で発言して、そして逞しい母達に一喝された国、ということになりますね。
日本も恥ずかしい事に、このリストに連なる可能性が高いです。仕方ないですね。
■ 特に女性は自分の首を締めないようにしてくださいね。
まず私の個人的な意見としては、
「こういう論争が巻き起こる事自体が世も末」と思っております。少子化となって然るべきです。というか、改善する気が全く無いのが明らかです。
そして最も嘆かわしいことだと感じているのは、女性の中にも「公共の場では、授乳を慎むべき」という意見に加担している方がいる、という事実です。子どもに縁のない若い人ならまだしも、もう子どもをある程度の年数育てた方までそう言っているのを聞いて、これは異常な事だと感じました。だってね、それって
自分たちの授乳姿を「わいせつ」と公言し、ソレ自体を恥ずべきと思っている、ということですよ?気付いていない人が多いと思いますが、
それって
私たちの子ども達に恨まれても仕方ない、自分たち人間の首を絞めるような行為 です。
少なくとも母同士は足を引っ張り合わないようにしませんかね。デモは別に起こさなくてもいいとしても( 個人的にあまり趣味じゃないので・・・いや、お好きな方はどうぞ、ぜひ。)、「授乳がわいせつなんて、あんたバカ?」と笑い飛ばすくらいには逞しくなりましょうよ。
もし若い男性が「目のやり場に困るんだよね」なんて呟こうものなら、「だったらオマエがとっとと退場しろ」と叱りとばしてください。もしくは、「まあ、ウブねえ♡」って微笑んで一蹴してください。
何と言っても、女性は母になる性なのですから。
もちろん、男性にしても同じではありますがね。父になる性だからね・・・。まあ父親になった男性は、こんなおバカな事は言わないだろう、と信じたいところです。
この議論は、次に「子どもを産むべきではない」という恐ろしいものに発展しうる、と思うのは考え過ぎでしょうか。「腹のでかい妊娠姿が気持ち悪いから見せるな」とかね。
■ 赤ちゃんにとって、授乳は食事ですよ
今でも忘れられない光景を、ここで皆さんにシェアしたいと思います。中学校時代、自分のお弁当を蓋でひたすら隠しながら、終始下を向いて食べる友人がいました。理由を聞ける雰囲気ではありませんでした。でも、何か悲しい、イヤな事があってそうなったことは周りの皆が知っています。彼女の頑な、そして物悲しい食べ方は今でも忘れられません。でも私たちは彼女を尊重して、その食べ方に深く触れず、受け入れていました。
その思い出を、私は以下の写真を見て思い出しました。この写真を見て、皆さんはどんな風に感じますでしょうか。
出典:
授乳は、赤ちゃんにとって食事なのです。
我が家の子ども達は大丈夫でしたが、ケープで覆われる事を嫌がる赤ちゃんは少なくありません。それは考えてみれば、当然のことではないでしょうか?自分の食事に布をかけて食べたい人はどれだけいるでしょう。トイレで授乳しろと言われて、粛々と引っ込むお母さんの気持ちを考えると、私は胸が締め付けられるような思いがします。
本当は誰もが、明るい太陽の下でおいしい食事を食べたい、そう思っているはずです。そしてそれは誰もが持っている権利ですよね。
同じ人間同士、思いやりを持って生きて行きたいものです。
「授乳がわいせつとは思わないけど、別の〜〜と言う理由で自分は授乳シーンを見るのがイヤだ」という方は、是非ご意見を伺いたいと思っております★
mica
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